わかくさ63号
7/36

設立二年足らずの「㈱古賀鋼材商店」に入社したのは、高校の卒業式を目前にした十八歳の春でした。ボーッとした田舎の毬栗頭の小僧がいきなり生き馬の目を抜く東京日本橋に出てくれば戸惑うことばかりで先代社長には毎日のように■られておりました。 「お金を使った楽しみは後悔するが、苦労は時が経つと楽しみに変わる」「辛抱する木に花が咲く」と口癖のように言われ、商売のイロハを叩き込まれました。今ではその通りだとつくづく実感し、有難いと思っております。会社と共に幾多の消長はありましたが約七十年間、会社の金庫番として勤めさせていただきました。その間、銀行さんに無理なお願いをしたこともなく幸せな金庫番でした。このことは取りも直さずしっかりとした会社のあかしでもあります。七十年の会社の歩みを振り返りますと、二つの時代に大別されると思われます。先代社長の強固な意志と指導力、先見性によって事業基盤を築いた昭和から平成の初めまでの発展した時代。その後、世の中は大きく変化し、銀行の再編、リーマンショック、東日本大震災、主要仕入先の住友金属工業㈱と新日本製鐵㈱の合併と激動の時代。この時代にあっても、現社長は忍耐と辛抱により、柔軟に一つ一つ対処し「信用・信頼」を第一に、社員の声を聴きながら高い評価をいただける堅実な経営を確立してきました。今年は社長の御子息の輝英さんが取締役に就任され、事業継承の道筋が見えてきました。時代の変化を読み、会社経営を変革してさらに発展させていかれることでしょう。次の百年、二百年と末永く事業を継続し、社員が明るく働き続けられ、これからもお客様や退職した社員が気軽に訪ねられる会社であってほしいと思います。群馬の田舎から出てきた入社試験日、3階建の新社屋で筆記試験を終え応接室で面接の順番待ちをしている時、隣に座って場を盛り上げていた小池君がソファーの肘掛けをひょんなことで壊し、そこに居たみんなで慌てて元に戻すのに苦労した思い出がある。面接が終わって玄関まで来ると全員が内定と言われた。当時は「金の卵」と言われた時代。帰りの土産は東京でしか売っていないおしゃれな煙草「ベルミニ」を数箱買って帰った。学生服なのに何も言わず売ってくれた。面接より緊張していたのに…東京か。そして1972年(S47)4月晴れて入社した。東京工場に配属され毎日ペンキ塗りと砂利運びの日々。翌5月初旬、私がペンキを塗った新砂第1工場(東京第1工場)とレベラーラインの竣工披露式が大勢のお客様をお迎えして盛大に執り行われた。東京工場に3年4か月、次に1975年(S50)8月北関東営業所の営業に異動、半年間は工場と営業の掛け持ち、4トントラックで配達もよくやった。23年間勤務しもう転勤は無いだろうと家を建てたら翌年(1999年5月)甲信越支店への異動が決まった。話には聞いていたが自分がなるとは思いもしなかった。その後北関東支店、本社と異動になり気が付けば半世紀近くになる。色々な場所で多くの人と出会い成長させて頂いた恩と絆を大切にし、これからも微力ながら皆さんのお力を借りて会社発展に努めて参ります。100年企業に向けて若い世代に大いなる期待をしております。会社設立70周年を迎え、このような歴史ある会社の一員である事に喜びと誇りを感じます。よく長寿企業の秘訣は「買い手よし・売り手よし・世間よし」の三方よしと言われています。自社や顧客の利潤を追求するだけではなく、様々なアプローチで社会や地域への貢献活動が企業の成長と存続に繋がるとの事であります。まさに当社も「買って安心、使って安心、よい製品」をスローガンとして産業界の素材の基盤を支えている企業であります。私自身、昭和48年に入社して生産部門一筋で現在に至っています。その間会社は「時代が要求するものをお客様のより近くで」の信念で支店・営業所を開設し、それに伴う建屋建設、機械設備などの設置立ち上げなどに携わってきました。それぞれの支店開設には竣工期日が決められており、きつく辛い時期もありましたが、開設時の竣工披露式には千名様以上の銀行・メーカー・お客様をご招待して盛大なる式典が行われ、辛かった事も忘れておいしいお酒を頂いた事が今でも鮮明によみがえってきます。時代時代で品質要求は様々に変わってきました。その都度設備の改善改修を進め、品質の良し悪しは自己満足ではなく、お客様の評価と受け止めて顧客満足度向上に努めてまいりました。古賀オールに完成はなく常に進化を続け、これからの100周年を迎えてほしいと思います。、90年そして設立70周年を迎えて昭和28年頃 同僚と(手前が■口相談役)昭和47年 新砂第1工場 竣工披露式平成3年 東北支店 開設工事(右側から2人目が織田専務)             680年相談役専務取締役専務取締役■口 光勇阿部 成男織田 紀彦

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る